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技術コラムを連載でお届けいたします。
「ケースレー428−PROG型電流電圧変換アンプのエミュレーション・モード搭載したA4280高速電流電圧変換アンプ」の開発現場より、不定期でお送りします。
技術コラム : 偉大なオームの法則
投稿日時: 2019-11-8 16:00:08 (3317 ヒット)
(偉大なオームの法則)
筆者は、確か小学生高学年で電池を使った実験でオームの法則を習った記憶と
中学1,2年くらいに試験で 電流I 電圧V 抵抗Rの関係を書く問題があったと
遠い記憶にメモリされています。(ゆとり教育ではありません)。

さて、最新の半導体においてもよく使用される導電性膜(ITO等)が
オーミックであるかどうかの評価が必要です。
ITOだけに限らず抵抗を測定することは、簡単であると思われています。
まあ、抵抗を測定するには、一定の電流を流し電圧を測定し
電圧/電流を計算します。

それの何が問題やねん。

銅や金などの純粋な金属であれば電流と電圧は一定の比例関係を示し
その比が抵抗です。温度を考えなければ簡単に測定できるものでしょう。

では、10cmの銅線の抵抗測定をする場合、何が必要なのでしょう。
ちょっと高級なDMM 6桁半の100Ωレンジで4端子測定で出る値は、
測定用のケーブルを使用せず端子を直結しても誤差は、3mΩほどはあります。

銅線の抵抗率は、1.68x10 -8乗Ωm
断面積が1mm2乗で10cm(100mm)1.68x10-2 乗
16.8mΩの誤差 3mΩの測定となります。

問題は、コレだけでなく熱起電力 銅と銅の接触でも0.2μV/℃あり、片方が錆びていれば数1000μV/℃
と温度によって変わります。
100Ωレンジの測定では、1mAの電流を流して測定しているので
電圧として測定している値は、16.8μV 誤差が0.2x20℃ 4μV/1接点なので
へたをすれば数10μV(10mΩ)の誤差がでます。

銅の測定はどうしましょう。

私の経験ではITO膜などでも別の問題があり、低い電圧や速い測定(電圧印加から10ms以内)
では、抵抗値が思ったより高い場合があります。

低い抵抗は、問題があるのはわかりました。絶縁抵抗ではどうでしょう?
10の15乗の測定をしたい場合、1000V印加で10-12乗A(1pA)の測定となります。
最高級のエレクトロメーターで誤差3fA(3x10-15乗A)
普通のエレクトロメータで誤差60fA 
何や簡単そう。
でも2つの問題が待っています。
サンプルを支える治具は、絶縁体といえ10 15乗程度のものほとんどで
エポキシなどは10 13乗程度で サンプルを支える治具が
何でできているかを調べることが重要です。
サンプルよりも高抵抗であってもリークの電流が無視できない場合もあり
コレを防ぐ配線(ガード)を正しくすることが重要です。

もし、高電圧がかけられずに高抵抗を測定する場合は、
更に問題が複雑になります。10Vしかかけれない場合は、
エレクトロメータを使用しても10 15乗の抵抗測定はかなり
難しい測定です。100fAを精度良く測定するということです。
ハムノイズの除去など困難を極めます。

一部の大変高額な半導体パラメータアナライザーで高いオプションをつけて
電流分解能をあげて測定ができる場合もありますが、筆者の経験では、
2端子のデバイスであればエレクトロメータのほうが、絶縁体の測定では
安定しているように思えます。測定する電流計が違うし、ガードが効果良く
きいていると思うのですが。

測定器の限界近くの測定をする場合は、測定器の限界のみならず、治具や配線、周囲環境まで
影響します。
たかが、抵抗されど抵抗といった感じです。

今回の結論は、1Ω−100MΩまでは、上等なDMMで測定できますが、
限界測定は、環境までも問題になります。

更に、抵抗が一定であると考えていますが、材料によってはオーミックではない場合もあります。
電流(電圧)を変化させて電圧(電流)を測定すると抵抗であれば、直線的に比例しますが、
ダイオードのような反応をする場合があります。
異種金属の接触では、ゼーベック効果(わかりやすくいえば熱伝対)がありますが
金属と半導体の接合ではショットキーダイオードの効果があります。
これらの特性を正しく測定するには、電流(電圧)を変化させて電圧(電流)を測定する(IV測定)が
必要です。
逆にいうと 高精度なIV測定で新素材の基礎特性がわかります。  


アクシス・ネットは、それぞれの測定器、治具 測定方法(ソフト)等の
総合システムをご提供いたします。

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4280A 高感度電流電圧変換アンプ仕様
投稿者: ueda


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