技術コラム : 閑話休題 秋の夜長、中国の馬のお話を3題
投稿日時: 2020-9-23 9:53:30 (637 ヒット)
恐ろしいくらいの猛暑がやっと終わり 朝夕の気温に秋の気配を感じるようになりました。 筆者は、暑さくらいで食欲は落ちたことがないのですが、 世間一般では天高く馬肥ゆる秋と言います。 このことわざには、もう一つ意味があります。 漢の国の将軍である「趙充国(ちょうじゅうこく)」が言った言葉 「雲浄(きよ)くして妖星(ようせい)落ち、秋高くして塞馬(さいば)肥ゆ」 訳すと雲がきれい見えて、秋には北方の馬が肥え太っている 不吉なことが起きそう。 中国の漢の時代 秋になるとに匈奴(モンゴル騎馬民族)が収穫した食料を略奪しに来ていました。 夏に草原で肥え太らせた馬で、匈奴がやって来るので用心しろということです。 この略奪を抑える為、漢は匈奴に贈り物を何度もしています。戦争するより安上がりということもあったようです。 時代が変わり、匈奴の勢力も弱まるとことわざの意味も変わってしまい。 秋の豊かな収穫のみを伝えることわざになりました。 ![]() この趙充国の話より 300年ほど前の戦国時代の中国には、 皇族や将軍達が、自分の馬を競走させて賭けをして楽しんだ。 ある日、軍師孫膑は親友の田将軍が、この賭けにどうしても勝てないので、 勝つ方法を相談に来た。 この賭けの競走の仕組みは、参加者は自分の持ち馬を三頭出場させて、 それぞれ取り組ませる方法で三回出走させていた。 当然、第一組は一番速い馬同士であり、二番目はその次に速い馬同士となった。 三番目は最も遅い馬同士である。 田将軍の馬は、三頭ともあまり速くなかった。 軍師は、田将軍に、一番目の出走馬には、最も遅い馬を出させた。 相手は最も速い馬であったので簡単に負けてしまった。 二番目には最も速い馬を出走させた。 相手の二番目に速い馬には一番速い馬で勝つことが出来た。 三番目には、二番目に速い馬を出走させた。 これも、相手の一番遅い馬に勝つことが出来た。 2勝1敗で、総合では賭けに勝つことができ大金と名声を得た。 一番目の出走を捨てたことが、勝因であった。 この辺から、中国の歴史に軍師が登場します。 この戦国時代に、有名な話 人間、万事塞翁が馬 の話が登場します。 確か筆者は、中学の国語の教科書で読みました。 あるとき、飼っていた馬が逃げて北方の敵地(胡)に入ってしまいました。 周りの人々は皆、気の毒がって口々に慰めましたが、 その老父は「いや、これが幸いになることもある」と言います。 それから数ヶ月して、逃げた馬が胡の駿馬を一緒に連れて帰ってきました。 そこで人々が祝福すると、彼は喜ぶどころか、「これは災いを招くこともある」と答えるのです。 その懸念が現実のものになります。彼の息子がその馬で落馬して、脚に大ケガをしてしまいました。 周りは皆、かわいそうに思って慰めましたが、 その父は「これが良いことになるかも」と穏やかにいいます。 その1年後、胡(匈奴)が大挙して侵入してきました。若者は弓を引いて戦いますが、 10人中9人が死ぬという悲惨な結果になりました。 しかし塞翁の子は脚の傷害のため、戦乱に巻き込まれずに、生き延びることができたのでした。 ![]() まあ、人生長く生きていれば何が良いのか悪いのか。 おいしいものばかり食べていては、成人病になるし。賢く生きないと生き残れないし。 多少のことがあっても、考え方次第で生きていくしかないのでしょう。 今回は、中国の哲学でした。 |
投稿者: axis
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